2022年8月16日300万以下の副業に関する税務のお話(続き)
■以前の記事の中で、
副業をしている方で、
年収(売上)が300万円以下の方は、
原則として事業所得ではなく、
雑所得としての申告になる
ということをお話しさせて
いただきました。
<2022.8.8【副業における確定申告】に
メスが入りました!>
https://muratax.com/2022/08/08/5498/
今日もこのことについて、
お話を進めてまいります。
前回にもお話ししたように、
今回は『通達』という、
いわば法律よりランクが下がる部分での
内容になるのですが、
そうは言っても、実際の税務調査は
これをもとに行われると考えて
間違いなさそうです。
■そして厄介なことに、
これは令和4年度…つまり
次回の確定申告から適用になる制度。
そのように考えると、
少なからぬ副業をされている方は、
この影響を受けることになりそうです。
年間の収入基準が300万円ですので、
大多数の方が該当するように
思われます。
■従来、事業所得として
申告をしていた人が
雑所得として申告するようになると、
主に次の点が大きく変わる
ではないかと思います。
まず、副業を事業所得として申告し、
なおかつ、その事業所得が
赤字の申告となり、
これを給与所得と相殺している場合。
これは、給与所得を事業所得の
赤字と打ち消すことにより、
所得を少なくして、
所得税の還付を受け、
住民税の減税がされる状況ですね。
当然、
初年度においては赤字が出ることも
想定されますが、
これが数年続いているとなると、
税務署としても「ん?」
となるわけです。
そもそも、
このような状況が事業所得
かどうかということは、
今回の改正云々ではなく、
本来本当に事業所得なのか、
という論点になろうかと思います。
当然、このような申告をされていた方
については、
これが打ち消されるわけですので、
純粋な給与所得のみの
課税がされるわけです。
雑所得になれば、赤字の相殺は
認められませんので、
純粋に給与所得だけの税になる
ということですね。
■もう一点が、
副業で事業所得を選択し、
なおかつ、青色申告を採っていた場合。
この場合は往々にして、
青色申告特別控除65万円
(または55万円または10万円)
を使っていたのではないか
と想定されます。
これが青色申告が使えない
雑所得となると、
この65万円がまるまる使えない
(経費が65万円消える)ので、
この分税負担が増えてくる
ということに。
こちらの方で痛手を負う方が
少なからずいらっしゃるような
気がするんですね。
■そこでお勧めをしたいのが、
3月15日までの確定申告の際に、
『急な納税』となる状況は避けるべく、
売上入ってくる都度、
【前もってその売上から納税資金を
天引きしておく】
ということです。
【納税を突発的なものにするのではなく、
予定されたスケジュールに
組み込んでいく】
というようなイメージですね。
納税が降って湧いてくるような
イベントになると、
その税負担もキツいものですが、
前もってこの税負担分を
天引きしておきさえすれば、
そこまで怖くないとも言えます。
■そして所得税の税率は、
所得が多ければ多いほど…
つまり給与所得が多ければ多いほど
税負担が上がってきます。
最低でも5%の税率がかかりますので、
住民税の10% (住民税は定額の税率)
と合わせて、
最低15%分の納税資金は
貯めておきたいところ。
細かい税負担は、
昨年の年末調整や確定申告をもとに
参考にすれば良いかと思いますが、
少なくとも15%は天引きする必要がある
ということですね。
■どうしても、
納税は怖いもの
というイメージがあるのですが、
これは上述したように、
【納税が突発的なイベントと
なっているためである】
と言えます。
副業であれど、一人の経営者として、
納税は的確に念頭に置いて、
【『予定されたイベント』として
税金を納付する】
という思考を持つようにすれば、
納税はそこまで恐れるべきもの
ではないため、
このような納税資金の積立を
お勧めいたします。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・今回の改正により、
副業で青色申告をしていた方は、
税負担が増えることが予想される。
・そこでお勧めなのが、
副業での売上が入ってくる都度、
納税資金を天引きしておく
という方法。
・結局のところ、納税を突発的な
イベントとするのではなく、
予定されたイベントとして捉え、
この準備(納税の積み立て)をしておく
ことにより、
将来の納税に備えておく
という考えを持っておきたい
ものである。
今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。