2022年12月4日押さえておきたい会計と税務の【経費の違い】
最近、4年程前に出した
個人事業の確定申告の動画教材が
多く売れています。
せっかくなので、5日間限定の
クーポンを付けました(笑)
【税理士が教える【小学生でもわかる】 自営業の確定申告の仕組み】
毎年のことではあるのですが、
動画が売れ出すと確定申告が近づいてきた
というデスマーチの足音がして
なかなかしびれる想いです(笑)。
また、昨日は想いを共有する仲間との
忘年会の日でした。
かなり多くの人が集う場では
あったものの、
仕事や性格は違えど、
ベースとなる理念や想いは同じ。
このような理念・想い・価値観を
同じくする仲間との語らいは、
すごく有用な時間ですね。
その道で成功されていらっしゃる
経営の先輩のお話からも
多くの学びがあり、
貴重な時間に心より感謝です。
・・興奮していたのか、
1時に寝て4時に目が覚め、
脳が笑っている感覚です
(ちょいキケン…)。
そして、今日はまたまた
想いを共有する仲間とのBBQ。
天気が心配ではありますが、
お肉と熱い想いを燃やしてきます!(?)
さて、本題です。
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■税務相談において、
よくご相談をお受けするのが、
【法人成り】
についてのこと。
法人成りについては、
個人事業と違い、
法人独特の捉え方がありますので
要注意であると言えます。
そこで今日は、
【法人についての経費の取り扱い】
について、
見ていくことにいたします。
■法人については
原則として、
代表者である自らに役員報酬を
法人から代表者個人へ支払う
ことにより、
法人から個人へ現金が移動する
ということに。
逆に言えば、その他の手段で
法人から個人へお金を移そうと
することは認められない
というのが通常です。
「会社のカネもオレのもの」
といったジャイアンの発想ではない
ということですね。
…ちなみに、個人事業は
このジャイアン的発想が認められます。
その代わりに、
個人事業は代表者に対する
役員報酬(給料)は
認められていないわけですね。
もちろん、
出張旅費などの規定を利用して、
合法的に移すことは可能なのですが、
今日はそのことは本筋ではないため
割愛させていただきます。
■経営においての判断の中で、
申告する側は経費として
認識して申告をしたとしても、
税務調査において、
それが経費とは考えられずに、
場合によってはその部分で
言い争いになるということも
少なからず見受けられるもの。
そうなった際、
その経費としたものの取り扱いについて、
法人税を計算する上では
いろいろな取り扱いが想定されます。
■俗に言う経費とは、
損益計算書…つまり
【会計上の経費】
を指すわけですが、
法人税を計算する上での経費は、
【損金】
と呼ばれるんですね。
つまり、
【経費と損金は異なる】
ということになるわけです。
【会計で経費になっているものの、
法人税の計算では損金にはならない】
という状況が存在するわけで、
こういった相違点については
十分認識しておくべきでしょう。
■税務調査において割と多いのが、
代表者に対する何かしらのメリット
(代表者が得をしている状態)
に対して、
税務調査のメスが入るという状況。
例えばで言うと、
社員旅行などの際に、
代表者の家族も同行していた場合に、
その全てを『福利厚生費』として
処理していたとしましょう。
そうなると、
代表者分の旅行代は業務に直結するため
当然経費になるのですが、
代表者の家族分については
仕事とは関係ない部分であるため、
【法人税を計算する上での
経費にはならない(損金ではない)】
ということに。
こういった場合は、
いわゆる給与課税という取り扱いとなり、
役員に対する給与…
つまり役員報酬として
認識されることになるわけです。
■ここで、役員報酬については、
毎月同額でなければならないという
【定期同額給与】
という考えを取りますので、この
【定期で同額ではない突発的な】
旅行の負担金額については、
臨時的な役員報酬…つまり
【役員賞与】
とみなされるわけですね。
当然定期でも同額でもないわけですので、
法人税法上の損金にはならない
ということになるわけです。
■そして、この役員賞与となると、
まず法人税を計算する上での
経費(損金)と認められないことに
なりますので、
法人税の負担が増加します。
そして役員報酬と言えども
給与であるわけですので、
【源泉徴収が漏れていた】
ということになるわけです。
そうなると、
【それに対する源泉所得税も
納付する必要が出てくる】
というもの。
追徴課税として、法人税と
源泉所得税がターゲットにされる
ということです。
■そして、法人の経費として
計上しているにもかかわらず、
それが出所を出せないような
支出である場合、
そういった支出に対しては
『使途秘匿金』として、
【重加算税】
という重たい罰金の対象に
なることが。
■しかしながら、
決して秘密にしていたわけではなく、
何かしらの経費に使ったはずだが、
その証拠書類がないなどの
やむを得ない場合に関しては、
こういったものまで
重加算税の対象とする
ということは現実的ではないので、
ただ単に不明金ということで
経費として計上している部分が
法人税の課税対象になる
ということになるわけです。
■重加算税については、
これも以前の記事で
述べさせていただいている
ことではあるのですが、
通常の税金にプラスの
税がかかることのほか、
【税務調査のブラックリストに
載ってしまう】
ということに。
<2022.1.24税務調査において
絶対に注意すべき2つのこと>
https://muratax.com/2022/01/24/4841/
そうなると定期的に
税務調査が来るわけですので、
(まさに招かざる客…)
これは経営においては
相当辛い部分ですよね。
■また、この上述した社員旅行について、
仮に従業員がその家族を連れて
旅行していた場合で
その家族分が否認された…
などというケースにおいては、
同じく
【従業員に対する給与課税】
という取り扱いになります。
■ただ、従業員に対する給与は、
上述した定期同額などという
取り扱いはないため、
これは会計上の経費になる上、
法人税を計算する上でも
損金となるわけですね。
したがって、
【法人税においては税負担はない】
ということに。
しかしながら、
源泉所得税については、
これが従業員に対する給料であっても
かかってくるものであるため、
源泉所得税の徴収漏れという面では
税務調査で指摘されることに
なるでしょう。
■ざっくりとした例を
述べてきましたが、
会計上の経費と法人税を計算する上での
損金はこういった違いがあり、
その取り扱いもケースバイケースで
異なってきますので、
そういった点にも十分注意しておく
必要があると言えます。
■何はともあれ、
法人においては特に、
【経営者が経費として
認識しているものと、
実際の税務上の取扱いが異なる】
ということが
往々にして考えられますので、
こういった点にはくれぐれも
注意するようにしたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人の経理をしていく上では、
【会計上の経費と
法人税を計算する上での損金の違い
について把握しておくこと】
が重要であると言える。
・社員旅行について、
役員分でその経費性が否認された際は、
法人税及び源泉所得税について
税金の納付漏れを指摘されるもの。
・一方従業員が
その社員旅行についての
経費性を否認された場合、
これは従業員に対する
給与課税となるが、
法人税においても
損金となることには変わりないため、
源泉所得税の徴収漏れだけが
指摘されるということに。
・いろいろなケースが想定されるが、
【会計上の経費と法人税を
計算する上での損金は別物である】
ということを心に留めておき、
自らの判断が難しい場合には、
適切に税理士に相談することが
有用であるものと心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。