2020年5月25日持続化給付金の本当の価値とは
こんばんは。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■さて、ご存知の方も多いとは思うのですが、
持続化給付金について
範囲が少し拡大されましたね。
具体的には、
これまで今年…つまり2020年に創業した方
については、
今回の(国の)持続化給付金の申請は
対象外となっていたのですが、
これを、
【今年創業した方についても、
場合によっては対象となる】
いうことが明らかにされています。
具体的に言えば、
2020年の1月から3月までの平均売上高と、
2020年中のどれか一つの月の売上高とを比べて、
50%以上減少しているという条件を満たせば、
持続化給付金の申請対象となるとのこと。
ただ、詳細はまだはっきりとはしていません。
確かなこととしては、
2020年中に創業した方についても
対象となる可能性が出てきた
ということですね。
この持続化給付金については、
個人事業主であれば最大100万円、
法人であれば最大200万円であるため、
かなり大きな金額ですよね。
これを『大きなお金が入ってきたぞ!』
と喜びたいところではあるのですが、
【この大きなお金の価値には
実はすごいものがある(!)】
ということについて、
会計的な視点からいささか興奮しながら
切り込んでいきたいと思います。
■早速、洋服屋さんを例にとって
考えてみましょう。
わかりやすいように、1着のスーツを
1万円で売っていると仮定します。
そして、この1万円のスーツを売るために、
生地の仕入れや縫製作業代として、
3千円がかかっているとすると…
1着のスーツを売ったことによる利益は
いくらになるでしょうか?
【10,000円− 3,000円で7,000円】
ですよね。
言い方を変えると、
(少しマイナスな表現ですが)
1万円の現金がお客様から入ってきた
にもかかわらず、
手元に残るのは7,000円しかない
ということです。
つまり、
【7割が利益として残り、
3割は経費として財布から消えていく】
わけですね。
■これは、モノを売る事業だけではなく、
サービス業においても同じでしょう。
サービス業においても、
売上を上げるための
お金がかかっていないように見えて、
いろいろな研修に参加したり、
技術を買うためにお金を払っていたり…
実際には、
いろいろと投資をしているはず。
会計には、
数字として表れては来ないものの、
簡単に言えば、実質的には
売上を作るためにかかったお金がある
ということです。
何が言いたいのかと言うと、
売上を作るためには、
【やはり何かしらの投資が必要】
ということです。
■では、今回の持続化給付金については
どうでしょう。
これは、昨年の売上と今年の売上を
比べることで、
給付金をもらえるかどうかが決まり、
後はこれを自分で申請するだけ。
もちろん、
経営者としての時間はかかっていますが、
現実的な現金の支出というものは
一切ないわけです。
仮に、個人事業主で満額の100万円が
もらえたとしたら、
【これがまるまる手元に残る】
わけですよね。
…さらっと言いましたが、
これってかなりすごいことなんです。
…ドキドキしてきませんか?
繰り返しますが、
売上を上げるためには、
必ずと言って良いほど、
それに伴う支出があるわけです。
でも、この持続化給付金は、
その必ずと言って良いほど伴ってくる
支出がないんです。
…これ、すごくないですか?
(…私は一人で興奮していますよ)
先の洋服屋さんの例でいくと、
お客様に対して100万円の洋服を
売ったとしても、
実際には7割しかお金は残らないので、
70万円が手元に残るお金となります。
持続化給付金であれば100万円が残り、
洋服の販売であれば70万円しか残らない。
その差にして、
【なんと30万円(!)】
これ、すごくないですか?
しかも、
洋服の販売であれば、
洋服の生地の発注、
その生地を取りに行ったり、
郵送してもらったりという手間、
スーツを店頭に陳列することや、
お客様といろいろお話をしながら
購入を決定していただく、
という営業の過程も必要。
7割の利益は残るのですが、
その他にもいろいろな労力を
使っているわけです。
■でも、
この持続化給付金はどうでしょう?
『チーン!ご入金!!』
で完了となるわけです(汗)。
…これ、すごくないですか?(しつこいか…)
実は、これが
【経費を圧縮するという効果のすごさ】
にもつながるんです。
以前の記事で、
売上を伸ばすより経費を減らした方が良い、
というお話をさせていただいたわけですが、
(こちらのバックナンバーをご参照ください)
【微粒子企業が利益(儲け)を出す際にまずに考えるべきこと】
https://muratax.com/2020/05/16/2703
売上を伸ばしたとしても、
その売上には原価がかかってくるため、
手元に残ってくるお金としては
売上を上げた金額がまるまる残るわけではなく、
経費を差し引いた残りの金額しか
残らないことになります。
ただ、経費を減らすと、
ダイレクトにその経費の分のお金が
手元に残ってきますよね。
…これ、すごくないですか?
ということなんです。
同じ金額のお金が増えるにしても、
減るにしても、
それが売上に関係しているかによって、
その価値は大きく変わってきます。
表面的にお金が増えたように思えても、
それは深いところで見てみると、
上述してきたような結果となっている
ということが少なからずあります。
■この視点は、
【手元にお金を残していく】
という面ではすごく重要で、
今回の持続化給付金に関しては、
そういった面でかなり価値のある収入
であると言えるわけです。
ただ、
お金をもらえただとか、
経費が少なくなっただとか、
そういった結果だけで考えるのではなく、
どのようにしてそのようにその結果が
生まれたのか、
ということを深く考えるということも
大変重要なことです。
■【最終的に手元に残るお金】。
これこそが何より重要。
これを常に頭の中に入れておくことにより、
経営において、次に打つべき一手
ということも、
見えてくるのではないでしょうか。
さぁ、今何かしら目の前のことを
改善しようとしたら、
あなたはまずどのようなことから
手をつけますか?
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《本日の微粒子企業の心構え》
・経費のかからない収入はまるまる手元に残る。
・売上を増やしても経費が掛かるため、
実際手元に残るお金は減ってしまう。
・やはり、まず考えるべきは【経費の削減】。
微粒子企業にとって、
【手元にお金を残すこと】
が何より重要だと心得るべし。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。