2022年2月15日決算前後の消費税で留意すべきこと
■決算の際に、
『税務対策』と『決算対策』
をしていくわけでありますが、
その中でもとりわけ大事なのが、
【消費税の判定】
について。
【前々年の課税売上高が
1千万円を超えている状況下において、
さらに、その前々年の課税売上高が
5千万円以下である】
という条件を満たしていれば、
消費税の計算方法において
『原則課税』か『簡易課税』
の方法をとることができます。
詳細については前の記事を
参考にしていていただくとして、
https://note.com/muratax/n/ne52f446efcfc
https://muratax.com/2021/11/21/4609/
今日はその計算方法を選択した前提での
その後の話について
言及していきたいと思います。
■今回の内容は、
『簡易課税』の場合と
『原則課税』の場合の取り扱いを重視して
考えるべきものなんですね。
その中で重要になってくるのが、
【設備投資や高額の商品や
サービスを購入する場合】
についてのこと。
簡単に説明すると、
『原則課税』については
支払った消費税を
税務署に納付する消費税から
引いてもらえるため、
【設備投資や高額の購入には有利である】
と言えます。
その一方で『簡易課税』については、
上述した支払った消費税を
税務署に納付する消費税から
引いてもらえないため、
【そういった高額の設備投資や
商品やサービスの購入をしたとしても、
納付する消費税に影響はない】
ということになるんですね。
■そういったことを背景に考えると、
仮に3月決算の法人について、
『翌期の4月から原則課税』
で計算することにしたとしましょう。
そんな中、『3月中』に多額の機械を
購入したとするとどうでしょう。
機械の購入については
『減価償却』となりますので、
【決算期末における
3月に購入したとしても、
決して(消費税以外の)
法人税等の大きな節税効果は
期待できるものではない】
と言えます。
そして、消費税については
『翌期から原則課税』
としていますので、当期3月においては
【消費税の納付額が変わることはない】
わけですね。
■その一方で、
3月に購入するつもりであったものを、
ひと月ずらして原則課税が適用となる
『4月』に購入したらどうでしょう。
上述したように、
『原則課税』においては、
その支払った消費税を
税務署に納付する消費税から
マイナスしてもらえるため、
【多額の設備投資やモノの購入などの際、
大きく消費税の納税額が少なくなる】
というものです。
仮に『300万円』の機械だとしたら、
その消費税は『30万円』なので、
【ダイレクトに30万円の
納付する税額が少なくなる】
というわけなんですね。
これが当期中に購入したとすると、
その30万円については何ら考慮されず、
【翌期の消費税が減ることはない】
ということになるわけです。
■また、
『簡易課税』の面から言えば、
当期まで原則課税で
翌期から簡易課税となった場合で、
サービスの提供による売上が
見込まれる状況があったとしましょう。
『サービスの提供は
自社の労働力だけで行う』
ということを前提にした場合、
【売上に対する外注や仕入がない】
ということになりますので、
【その売上に関係する
支払う消費税がない】
ということが言えますよね。
そのような状況下において、
【当期の原則課税が適用されている
3月中にそのサービスを納品するのか、
それとも翌月4月に
そのサービスを納品するかにより、
大きく消費税が変わってくる】
ということになります。
■仮に、
300万円のサービスを
『原則課税である3月中』
に提供したとしましょう。
そうなると
税務署に納付する消費税は30万。
そして、経費はないので
【その30万円を丸々
税務署に納付する必要が出る】
ということに。
一方、翌期の4月に入って
このサービスを提供した場合は、
簡易課税においての
『サービス業』については、
売上の消費税の『50%』を
支払った消費税とみなしますので、
つまり
【30万円の50%である『15万円』を
30万円の消費税から引いて
税務署に納付することができる】
ということになるんですね。
そうなると、
【4月にサービスを提供した場合は、
この30万円の消費税が15万円で済む】
ということになるわけです。
■上述してきたように、
『原則課税』や『簡易課税』
を適用する際に、
【その前後の年度の変わり目においての
設備投資や売上、納品やサービスの
提供の時期を決定する】
ということは消費税の節税において
極めて重要な選択となり得ます。
翌期の消費税の計算方法の判定をした
その後は、しっかりと、
そういった設備投資や
商品やサービスの納品提供時期を検討して、
【消費税の節税】
も観点においた対策を
検討したいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・決算の際には、
翌期の消費税の計算方法の選択を
検討するものであるが、
【その後の設備投資や
商品やサービスの納品、
提供時期も考慮に入れるべきである】
と言える。
・これは、
【原則課税と簡易課税の計算の仕組み】
を知った上でないと
判断が難しいことである。
・その計算方法の特性の違いを
しっかりと理解し、
上手に設備投資や商品やサービスの納品、
提供時期を見定め決定することにより、
場合によっては
【大きく消費税が節税となる】
ということを併せて心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。