2022年10月14日【夫婦で事業をしている場合】の注意点
■以前の記事の中で、
『最近副業に関する
サラリーマンの方からの
税務相談が増えてきた』
というお話をさせていただきました。
今日もそのことに続けていきたい
と思います。
■今回は、
『副業』のテーマではないのですが、
税務相談を受けさせていただくにあたり、
【夫婦で仕事をされている】
というケースが
少なからず見受けられます。
スタートはご主人か奥様が
個人事業の代表者となり、
そこから配偶者の方に『専従者』
として仕事に入ってもらい、
【その仕事に入った配偶者の方が
専従者給与をもらうということで
税金の対策をしている】
ということが往々にして
見受けられるもの。
■しかしながら、
事業が拡大してきて、
利益がそれなりに増えてくれば、
【国民健康保険料の負担が増えてくる】
ということに。
さらに利益が増えてくると、
【国民健康保険料】のほか、
【所得税】や【住民税】、
場合によっては
【個人事業税】
もかかってきますので、
【税負担は大きくなる】
というのが一般的です。
■そこで検討すべきなのが、
【法人成り】
なんですね。
『法人成り』については、
それなりの利益がないと
メリットがないものなのですが、
その手前の段階で
【国民健康保険料を削減すべく、
マイクロ法人を設立する】
というのも有用です。
■これについては、
以前の記事に書かせていただいたこと
なのですが、
<2022.10.6【サラリーマンからの独立】
にあたり注意したい税の話>
https://muratax.com/2022/10/06/5695/
ご夫婦で国民健康保険と国民年金に
加入している状況であれば、
【少なくとも国民年金は2人分…
現在では3万3千円ほど支払っている】
ということになるんですね。
しかしながら、これをマイクロ法人に
個人事業の一部などをもっていき、
最低限の役員報酬をもらうことで、
その役員報酬に対して
社会保険料がかかってくることになり、
【個人で負担していた
国民健康保険料や個人年金は
負担しなくて良くなる】
ということに。
こういった面で
【マイクロ法人の設立がお得である】
というお話を、
以前の記事でさせていただきました。
■しかしながら、
もう一つ着目すべき事実が、
【現状において個人事業で
専従者給与を支払っている】
ということ。
この専従者給与の支払いにより
個人事業の経費になっている状況
ですので、
【これをマイクロ法人や
法人成りにおいてどのようにしていくか】
というのが一つのポイントである
と言えます。
『個人事業の全てを
法人にもっていく法人成り』
については、
専従者給与として払っていたものを
『法人からの給料』として払うことにより、
それを扶養の範囲で払うことができれば、
【所得税や社会保険の
扶養に入ることができる】
というもの。
個人事業の場合は、
専従者給与をとっていると
配偶者控除が受けれませんので、
そういった点で法人成りのメリットは
大きいのかな
というところですね。
■では、
『マイクロ法人』については
どうでしょう。
マイクロ法人については、
【国民健康保険料の
削減のために設立をする】
というものですので、
結果として
『法人による社会保険料』と
『個人事業による国民健康保険料と
国民年金』
を比較して
【法人で社会保険に入っている方が
有利な状況を作りたい】
というものです。
そして法人については
『年間で最低7万円ほどの税金』
がかかってくるのと、
申告も自分ですることが難しいため
『税理士報酬』もかかってきます。
【そのようなこともトータルで考えて、
マイクロ法人の設立がお得かどうか】
を検討する必要があるわけですね。
■そして、
【専従者給与を払っている
個人事業についての考察が必要】
というのがこのマイクロ法人の設立
についての論点。
仮にご主人が社長である場合、
マイクロ法人よりご主人が
社会保険料が少なくなる範囲内で
役員報酬をもらうとしても、
【その扶養に入る奥様の方の給料が、
ご主人の収入の半分以下でなければ
ならない】
という扶養の要件がありますので、
【奥様の方に給料を多く
払いすぎることはできない】
というわけです。
■しかしながらこれは、
『扶養』についての論点ですので、
【奥様はあえて個人事業の
専従者給与を従来通りもらい、
奥様一人で国民健康保険と
国民年金に加入したままにする】
というのもまた一つの方法。
そしてこれは、
【個人事業の利益が
どの程度上がっているか】、
また
【マイクロ法人で上がってくる利益が
どの程度であるか】
ということにより、
その有利不利は変わってくる
というもの。
したがって、
【個々による検討が必要】
ということですね。
■長々と述べてはきましたが、
夫婦で事業をしている場合は特に、
こういった
【トータルでの判断】
が必要となります。
選択肢によっては逆に
税負担が増えたりすること
も考えられますので、
その選択には十分注意して、
的確な税務判断をしていきたい
ものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・夫婦で事業をされている場合は、
【個人事業において
専従者給与をとったり、
配偶者控除を受けたりしている状況】と、
【法人を設立することにより、
給料を得ながら配偶者控除を受ける】
などという選択肢を
多方面から検討したいもの。
・その選択を誤ってしまうと、
思わぬ税負担を強いられることになるため、
重々注意が必要である
と言える。
・特にご夫婦で事業をされている
場合においては、
その状況は十人十色であるため、
【その状況に応じた適切な試算をし、
最も有利な方法で
法人設立や社会保険の加入などを
検討すべきであるもの】
と心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。