2022年4月16日【外注費】のよくある誤りについて
■以前の記事で、
『損益計算書の見栄え』
について述べさせていただきました。
<2022.4.14節税だけではない!
【財務諸表の魅せ方】>
https://muratax.com/2022/04/14/5103/
金融機関の評価においては、
こういった
【財務諸表の魅せ方】
が大切であるわけですが、
今日はその反面とも言える、
『税務の面』について
見ていくことにいたします。
■今日見ていくのは、
【外注費】
について。
『外注費』と聞いてあなたは
どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
場合によっては、
『ホームページの依頼』をしたり、
『事務作業を代行』してもらったり、
建設業などにおいてはその
『現場の作業』を手伝ってもらったり…
そのような多種多様なケースを
思い浮かべるのではないか
と思います。
現に、会計ソフトの初期設定において、
『外注費』は
【『販売費及び一般管理費』
に属しているもの】
として設定されているのが一般的です。
しかしながら、
【本当にそれで良いのか】
というのが今日の記事の内容。
■これは、
『経費の種類』
に関係することなのですが、
【経費の種類には
大きく分けて三種類がある】
ということを以前の記事の中でも
述べさせていただいたことがあります。
<2017.1.8経費は3種類に分かれます>
https://everydayrunchange.hatenablog.com/entry/2017/01/08/232300
<2018.2.17外交問題から学ぶ
セミナー代の費用計上時期>
https://muratax.com/2018/02/17/291/
一つ目は【原価】。
二つ目は【費用】。
三つ目は【損失】
というもの。
上述した二つの点については
【『原価』と『費用』に分かれる】
というところなんですね。
簡単に言えば、
『ホームページの依頼』や
『事務作業の代行』に関しては、
【原価ではなく費用に属するもの】。
逆に『工事現場を手伝ってもらった
際の外注費』は
【原価に属するもの】
と言えます。
■では、
この二つの違いは
一体何なのでしょう。
結論から言えば、
【売上が増減するにつれ、
その外注費も増減するもの】
が『原価』であり、
【売上には直接関係しない外注費】
が『販売費及び一般管理費』
に属する『費用』である
ということができます。
よって、工事現場などの外注費のように、
売上が増えれば増え、売上がなければ
計上されない性質のものは
【『原価』の外注費】
ということができ、
そうでない外注費は
【販売費及び一般管理費の『費用』】
ということができるわけです。
■そして、
経費の種類が違うわけですので、
『計上することが認められる経費の概念』
も変わってくることになります。
まず『原価』については、
【売上と直接対応していること】
が必要となります。
つまり工事現場を例にとると、
【その工事現場の工事が終わり
売上が計上されているもの】
については外注費も計上できるのですが、
【その工事現場が未完成で
売上が計上されていない現場については、
その外注費の計上もできない】
ということになるわけです。
■とは言え、
外注費自体は
その業者さんの仕事が終わり
支払いは完了していますので、
ひとまずは『外注費』
という経費を計上することになります。
しかしながら、
その売上に対応していない…
【工事現場の売上が立っていないもの】
については、
【棚卸資産(『仕掛品』や『未成工事支出金』
などの科目で表示)】
として
【外注費から振り替える処理をする
必要がある】
というわけです。
いったん経費にするものの、
経費から『資産』の科目に
振替えることにより、
【売上も外注も上がっていない】
という状況を作るわけですね。
■一方、
『販売費及び一般管理費
に属する外注費』
はどうでしょう。
これは『費用』という性質ですので、
【その『期間』に対応する経費】
という概念に立って考えます。
つまり、当期において
そのサービスの提供が終わっているもの
は『経費』で、
逆にそのサービスの提供が
翌期に渡っているものについては、
【その分を(前払いとして)
経費から抜いて考える】
ということなんですね。
■このように、
『外注費』については、
【原価に属するもの】と
【費用に属するもの】
に大別されます。
『外注費』というと
上述したようにいろいろな項目が
思い浮かぶものなのですが、
特に『原価に対応するもの』
については
【期末に『棚卸資産』に振り替える
必要がないかどうか】
ということを的確に考え、
その会計処理を適切にすること
を心がけたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・『外注費』については、
【原価に属するもの】と
【費用に属するもの】
に大別される。
・『原価』は
【売上との直接の対応関係】
が求められ、
『費用』は
【その期間に商品やサービスの
引渡しや提供が完了しているもの】
という考えの下、経費としての
計上が認められるものである。
・よくある誤りが、
『原価に対応する外注費』
であるにもかかわらず、
【売上が計上されていない部分についての
外注費を計上している】
というもの。
これについては、
【期末に『棚卸資産』として
外注費から抜く処理をしなければならない】
ということを心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。