2022年8月28日【社長のお金】に関する銀行と税務署の視点
■先日の記事で、
『役員借入金』について
お話をさせていただきました。
<2022.8.26税務署が【役員借入金】を
注視する理由とは>
https://muratax.com/2022/08/26/5555/
先日の役員借入金の視点については
『税務署』についてのお話。
そこで今日は、
税務署と対極の関係にある
とも言える
【金融機関の役員借入金を見る目】
についてお話をしていきたい
と思います。
■前提として押さえておきたいのが、
『税務署』は、
【1円でも多くの税金を徴収したい】
ということ、
そして『金融機関』は、
【お金を貸して利息をもらって、
間違いなくその貸したお金を
返済してもらいたい】
ということ。
これは
【税務署と金融機関の
見る目が対極にある】
と言えるわけですね。
■この役員借入金について
金融機関としては、
法人に融資をする際に考えるのが、
【その社長個人の資産がどれだけあるか】
ということ。
仮に法人の経営が立ち行かなくなり、
法人単体でお金を返済してもらうことが
できなかったとしても、
社長個人の資産が
それなりにあるようであれば、
【金融機関のトータルの評価としては
プラスになる】
と考えられます。
■そのように考えると、
役員借入金は、
【社長が会社にお金を入れている
額を表しているもの】
と言えますので、
法人と社長個人が一体のもの
と見なすと、
【社長から会社にお金が動いている】
ということは、
【内部的な財布から
現金が動いているに過ぎない】
ということになるわけですね。
貸借対照表上は役員借入金を
『負債』として表示はするものの、
実質的にこれは負債ではなく、
【純資産(自己資本とも言います)
に含まれる】
と解釈するのが金融機関。
したがって、これまで見てきた
役員借入金については、
【金融機関の評価の面では
マイナスになるということは考えにくい】
というものです。
■逆に、
『役員貸付金』になっていたら
どうでしょう。
これは以前の記事でも
書かせていただいたことですが、
『役員貸付金』というのは
役員借入金とは逆の状態で、
【経費の支出以外に社長個人が
法人からお金をもらっている】
ということに他ならないんですね。
<2022.3.25法人で注意すべき
【現金出金】と【役員貸付金】のお話>
https://muratax.com/2022/03/25/5035/
このような状況が
【役員貸付金】
であると言えます。
このような状況を回避するためにも、
役員貸付金になることは
どうしても避けたいものです。
■また、
税務署からすると、
『会社が社長にお金を貸している…』
この事実を考えると、
【会社はその社長から
その貸付金に伴う利息を
もらうべきである】
という考えがあるんですね。
これを
【認定利息】
というのですが、
この認定利息は
【法人の収益として計上すべきもの】
となります。
現在は利率が低いため
そこまでの痛手はないものの、
『収益』としてカウントされることで
法人の納税は増えてくるわけです。
■ということで、
前回と今回で『役員借入金』、
またそこから派生して『役員貸付金』
のことについても見てきました。
このように、
【金融機関と税務署の見方は
対極にある】
と言えます。
このような大枠の性質を
的確に理解するとともに、
極力実際に動いている現金を
見える化して、
経営の把握に役立てていきたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・『税務署』は、
【役員借入金の動き】
を注視するものの、
『金融機関』は、
【これを自己資本という形で
プラスに捉える】
傾向がある。
・『税務署』は、
【1円でも多くの税金を徴収】し、
『金融機関』は、
【融資をしてその利息をもらうとともに、
間違いなくその融資を
返済してもらえるかどうか】
という視点を持っている
ということを心得ておくべし。
・税務署と金融機関の考えの違い
を理解しておくことは
かなり重要であると言える。
しっかりとこの性質を理解し、
また、現金の動きは的確に
会計帳簿に反映するようにし、
これを経営の定点観測に
役立てたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。